T子さんの告発 4

髪をアップにして束ね、短パンにノースリーブ姿の小柄な女性は、チャイを飲みながら煙草を吸っていました。
化粧っけのない顔は日焼けし、悄然と海を見ている姿は、旅行者というより「地元に住んでいるのか」と思わせるたたずまいでした。
しかも不思議なことに、彼女はT子さんとは目を合わせず、顔をそらしたまま避けるかのようにそっぽを向いたままです。

T子さんはここでもいたたまれなくなって階下へ下りてゆくと、店主Aは「景色きれいだったでしょ」とワイン片手にニヤニヤしながら話しかけてきました。
「テラスにいる日本人も従業員？」と聞くと、店主Aは「えっ、誰のこと？」と驚き、「お茶を飲んで休憩していた日本女性」と答えるT子さんに、次のように云いました。


ボスフォラス大橋（撮影は管理人）

「彼女はね、日本から観光に来てすぐに財布とパスポートを盗られ困っていたんだ。ワタシが日本語を話せるから、知人がここへ連れてきたんだが、警察に届けてあげて、親からの送金が来るまでここで自由に休憩してもらってるんだよ。少しでもリラックスして嫌なことを忘れてもらいたいからね」

T子さんは、店主Aのことを、ほんとうは優しい人なのかと見直し、くだんの女性が人目を避けるようにしていたのはその為だったのかと納得します。
しかし、帰国後ネットで検索するうち、T子さんはこの女性を『発見』します。
絨毯ビジネスにおいて「日本人観光客を安心させる役回り」を演じ、詐欺師の一味として、その名は悪名高く知れ渡っていることを・・。

イズミール近郊のセルチュクという町で、詐欺被害に見舞われた方が、ヤフートラベルに投稿されています。詐欺師の詳細が載っていますのでぜひご覧ください。


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